足立区制80周年を記念し、一昨年より区内の仏教遺産調査が行われ、調査成果をまとめた書籍「足立の仏像」が足立区立郷土博物館より出版され、實性寺のご本尊も掲載されました。
ご本尊 阿弥陀如来座像の特長
像容
木造(寄木造)彫眼 漆箔
平安時代末期像高:86.5cm
当寺の本尊であり、来迎形の観音・勢至両菩薩が脇侍として従立する(なお両脇侍は現代の補作。)
解説
阿弥陀如来は左右とも第一・二指を念じて腹前で組む弥陀定印を結び、右足を上に結跏趺坐し、両足先を見せる。
白毫と肉髻珠をそれぞれ嵌入し(いずれも後補)、螺髪を彫出し、目も彫眼とする。現状では、頭髪を群青彩色、ほか全身に金箔を押す。
補修が厚塗りであるため、構造の詳細は不明である。現状では、表面の形状は模糊としている部分も多いものの、顔貌をはじめ、各所に補修の痕跡がみられ、仕上げの下から浮き出る腹部の凹凸具合などをみても、かつては少なくない損傷を蒙っていたと思われる。
おそらく当初の像容はもっと異なった印象を与えるものであっただろう。
現状からでも、なで肩で薄づくりの体幹部、低朝様に近い起伏の少ない衣文の形式など、全体的な作風は平安時代末期の仏像の特徴を示している。